帰り道 デートの帰り道に読む
会話

デートの話題を、前日に全部メモした

デートの前日、私はスマホに話題を十二個メモして、翌朝に全部忘れた。用意した話題で会話を繋ぐのは、私には無理だった話。

デートの前日、私はスマホに話題を十二個メモした。

「仕事の話」「趣味の話」「最近見た映画」……全部、よくあるやつ。私はそのメモを、当日の朝までに三回は読み返した。

用意した話題は、一つも使えなかった

結果から言うと、メモした十二個の話題は、一つも出せなかった。

理由は簡単で、相手が話す番のときに、私は次の自分の話題を探していたからだ。

へえ、そうなんですね。私の趣味は……

って、相手の話を聞いてるふりをしながら、メモの次の行を探してた。相手が何を言ったか、実は覚えてない。

メモをしても、メモを覚えられない

一番ひどかったのは、メモをしたこと自体を忘れていたことだ。

当日、緊張して店に入って、話題がなくなった。そこで「そういえば」と思ってスマホを見ようとして、あれ、どこにメモしたっけと、スマホの中で迷ってた。

結局、食事が終わるまで、そのスマホはバッグの底にあった。

分かったのは、話題は「聞いたあと」に要るってこと

あとから気づいた。

会話で要るのは、始めるための話題じゃなくて、相手の話を膨らませるための言葉だった。

「へえ、すごいですね」で終わるか、「それ、何がきっかけで始めたんですか?」で繋げるか。相手の話の続きを聞けるかどうか。それが、用意するべきだった話題の正体だ。

で、今はこうしている

今は、前日にメモしない。代わりに、その週に自分が考えてたことを、ひとつだけ覚えておく。

「最近、休日に何してた」と聞かれたら、即答できる話をひとつ。

あとは全部、相手の話を聞く。聞いて、気になったところをひとつだけ質問する。それで会話は、意外と続く。

メモは、もう作らない。聞く方を、練習している。

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