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写真に顔を出すのが、怖かった

マッチングアプリに顔写真を出せなかった。顔を出して、見知らぬ人にどう思われるかが怖くて、代わりに遠くの風景写真を載せていた。顔を出さないアプリ歴が長かった男が、ある日、いちばん怖いことをやってみた話。

マッチングアプリに、私は最初、顔写真を出せなかった。

顔を出すと、何を思われるか

アプリを始めたとき、私はプロフィールに、遠くから撮った小さな写真を載せていた。

顔は写ってない。全体のシルエットと、服装だけ。顔を出すと、それを見た人が「この顔か」と思う瞬間がある。 その瞬間が、私は怖かった。

いいねが来ないのは、もちろんだった。顔がないプロフィールに、誰がいいねを送るだろう。でも、顔を出したら出したで、今度は「この顔でいいねが来なかったら、もう言い訳できない」という怖さがあった。

顔を隠してる間、私は安全だった

顔を隠している間、私は安全だった。

顔が出ていないから、「写ってないからいいねが来ないんだ」と言い訳ができた。顔を出さないのは、自分の顔を守っているようで、実は評価を避けているだけだった。

一年近く、私はそのままだった。シルエット写真のまま、何十人とメッセージをして、でも、会う話になる前に、いつもフェードアウトされていた。顔を出すのが怖くて、会う前に逃げていた。

出してみたら、何も起きなかった

ある日、私は三年ぶりに、正面の写真を一枚、載せた。

載せるのに、一時間かかった。載せたあと、半日はスマホを開けなかった。開いたとき、いいねが数件来ていた。知らない人が、私の顔を見て、いいねを押してくれていた。

何も怖いことは起きなかった。私が怖がっていた「この顔か」という瞬間は、誰も、私に向かって言わなかった。

で、今はこうしている

今は、顔写真を載せるのに、迷わなくなった。

出した顔で、いいねが来ることもあるし、来ないこともある。でも、顔を隠してる間の「言い訳の安全」より、顔を出したときの「ちゃんと向き合った」のほうが、ずっと後悔がない。

顔を出すのが怖かったのは、私が顔を出してない自分に、いちばん厳しかったからだ。

写真に顔を出すのが怖かった夜を、今は覚えてる。あのとき、私は顔を隠して、評価を避けて、そのぶん、誰にも会わずに逃げてた。顔を出したら、ようやく、出会いが始まった。

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