帰り道 デートの帰り道に読む
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初めてが遅いことより、誰にも言えないことの方が重かった

私は三十歳で初めての経験をした。それまでセックス未経験のまま、遅いことを「隠し通す」ために十年を費やして、その間に一番消耗していたのは、経験そのものじゃなかった話。

私は三十歳で、ようやく経験をした。正直に書くと、それまでは「未経験」だった。

誰にも言えなかった

未経験であることは、それ自体は、じつは耐えられた。

耐えられなかったのは、それを隠すために、毎日、嘘をつき続けることだった。

「前に付き合ってた人、いますよ」と、私は二十年間、言い続けてた。友達の下ネタの輪に入るたび、相槌を打って、笑って、中身のない話をしていた。

隠すために、全部に距離を作ってた

今なら分かる。未経験を隠すために、私は「体の話ができる距離」を全部、避けてた。

深く付き合うのが怖かった。相手に近づけば近づくほど、バレる可能性が増えるから。私は体の話をしない距離を守って、その距離の中でしか、人と付き合えなかった。

それは、誰も傷つけないようで、誰にも触れられない自分を作ってただけだった。

分かったのは、重かったのは「秘密」の方だってこと

三十歳で経験をして、私は、あることに気づいた。

経験する前は、経験そのものを怖がってた。でも、実際に怖かったのは、秘密だった。

秘密を抱えてる間、私は会話のたびに、バレないかどうかを考えてた。経験をして、秘密がなくなった瞬間、体の話をしても、何も怖くなくなった。二十年来の嘘を、やっと下ろした。

で、今はこうしている

未経験だったことは、今は、誰かに言わないことにしている。でも、隠してない。

「経験が少ない方です」と、聞かれたら、そのまま言えるようになった。嘘をつくのは、もうやめた。

初めてが遅いことは、何も恥ずかしくない。恥ずかしかったのは、それを二十年、隠し続けたことの方だ。 下ろした今は、ずっと軽い。

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