誘われた夜、私は「明日が仕事で」と逃げた
そういう雰囲気になって、相手が「今夜は泊まっていかない?」と聞いてきた。私は「明日が仕事で」と答えて、帰った。帰ったあと、ずっと「なぜ逃げたんだ」と考えてた。断ったのではなく、逃げた夜の話。
そういう雰囲気になって、相手が「今夜は泊まっていかない?」と聞いてきた。私は「明日が仕事で」と答えて、帰った。
嘘をついた
「明日が仕事で」というのは、嘘じゃなかった。でも、本当の理由じゃなかった。
本当の理由は、怖かった。このまま泊まって、そういうことになったら、私は何をすればいいか分からない。経験が少ないことを、その場でどう話せばいいか分からなかった。
だから私は、「明日が仕事で」という、安全な言葉に逃げた。相手は「うん、分かった」と言って、送ってくれた。
逃げたあと、ずっと考えてた
帰り道、私は逃げたことを、後悔してた。
「泊まらないか」と言われたのは、たぶん、私にとって初めてのことだった。 それなのに私は、その言葉に「はい」と答える勇気がなくて、「仕事で」と返した。
逃げた理由は、経験がないからだった。でも、経験がないからといって、ずっと逃げてたら、経験はいつまでたっても増えない。私は「経験がない」を理由に、経験するチャンスから、全部逃げてた。
断るのと、逃げるのは、違う
あとから考えると、あのときの私は「断った」んじゃなかった。
断るのは、自分の意思で選ぶこと。逃げるのは、怖くて選べなかったこと。 私は「泊まっていかない?」に対して、「仕事で」という理由をつけて、選ぶことを避けた。相手は、私が「選べなかった」ことを、きっと気づいてた。
本当に仕事だったなら、それは立派な断り方だ。でも、仕事は逃げるための口実だった。口実で逃げると、その後も「また今度」みたいに、同じ夜を繰り返す。 私はそうやって、ずっと逃げてきた。
で、今はこうしている
今は、そういう夜になっても、先に「経験が少ない」と、その場で言うことにしている。
「経験が少ないから、緊張してる」と正直に言うと、相手は「大丈夫だよ」と返してくれることが多い。隠してるから逃げたくなる。 正直に言えば、逃げずに済む。
誘われた夜、私は「明日が仕事で」と逃げた。あれは、私の人生で、いちばん意味のない嘘だった。相手に隠すために、自分から逃げてた。
今度そういう夜が来たら、逃げない。経験がないことを、ちゃんと言って、それでもよければ、進みたい。
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