エッチなことは、実は「空気」で決まる
私は長い間、エッチなことは「どうやるか」の問題だと思ってた。でも実際は、ちゃんと誘ったことが一度もなかった。誘い方の話をするための、恥ずかしい話。
私が「エッチなことは苦手」と思ってたのは、実は、やったことがほとんどなかったからだ。やった回数が少ないので、得意なはずがない。
私は「誘う」ことを、一度もしていなかった
どうして回数が少なかったのか。理由は単純で、私は一度も「誘う」をしたことがなかった。
エッチが始まるとき、私の頭の中は「どうするんだっけ」でいっぱいで、手も口も、ぜんぶ考えるのに使ってた。相手がどう感じてるか、自分がどうしたいか。そういうことを考えてる余裕が、一度もなかった。
雰囲気、という言葉の意味
よく「雰囲気で流れて」とか「いい感じになったら」とか言う。私はそれを、偶然に起こるものだと思ってた。
でも、ある日分かった。雰囲気は、作るものだ。
照明が暗い、音楽がかかってる、隣に座ってる。その全部が「次の段階に行っていい」という合図だ。私はその合図を、一度も出したことがなかった。合図を出さないから、何も始まらなかった。
相手は、私の「合図」を待ってた
帰り道、駅まで一緒に歩きませんか
これは私が、唯一、自分から出せた合図だった。普通の言葉だけど、じつはあの言葉を出すのに、私は三十年かかった。
出したあと、世界が変わった。 相手が「いいですよ」と返して、そこから急に、体の距離が近くなっていく。エッチなことは、合図を出してから、勝手に始まっていくものだった。
で、今はこうしている
今は、エッチなことを「やること」ではなく「合図を出すこと」だと思ってる。
夜に二人でいるとき、私は「ちゃんと誘う」を練習してる。「泊まっていきませんか」も、「キスしてもいいですか」も、聞いてみたら、意外と恥ずかしくない。
エッチなことが始まるのは、偶然じゃない。私が合図を出したときだけだ。 それを覚えてから、私はようやく、ちゃんと参加できるようになった。