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退会のふりを、考えた夜

やり取りしていた人に「アプリ、そろそろやめようと思ってる」と言えば、相手が焦るかもしれない。退会のふりをして反応を見たくなった夜の話。そして、ふりを考えている時点で、もう決められていないということ。

「アプリ、そろそろやめようと思ってる」

この一言を、私は送りたくなった夜がある。

退会のふりで、相手の反応を見たかった

相手は、メッセージの返しが少しずつ遅くなっていた。私はその理由が知りたくて、でも直接は聞けなくて、「退会する」と打てば、相手が何か言ってくるかもしれないと思った。

別に、やめる気はなかった。やめるふりをして、慌てさせたかった。

今思うと、これは本当に恥ずかしい。「退会する」は、やめる人の言葉であって、試す人の言葉じゃない。 それなのに、私はやめるつもりもないのに、その言葉を送ろうとしていた。

打って、消して、また打って

メッセージ欄に「アプリ、そろそろやめようと思ってる」と打って、消した。

消した理由は、向こうが「あっそ」で終わったらどうしよう、という怖さだった。ふりが返ってきた返事は、全部本当になる。 相手が何も言わなかったら、私は「やめる」を本当にしないといけなくなる。

ふりで反応を見たいのは、本気で決められていない証拠だ。私はやめることも、続けることも、どちらも決められず、ふりという逃げ道を探していた。

ふりをしているのは、自分だった

あの夜、結局私はそのメッセージを送らなかった。

次の日、私は普通に「おはようございます」と送った。返事は、半日後に来た。遅くなっていることに変わりはなかった。

退会のふりをしても、相手の反応は変わらない。変わるのは、自分がやめることも続けることもできなくなっていくことだけだった。

で、今はこうしている

今は、ふりを送りたくなったら、そのふりを、本気の代わりだと思うことにしている。

「やめる」と言いたくなったとき、私は本当は「決めたい」と思っている。 だから、ふりで相手に決めてもらおうとするんじゃなく、自分でどちらかを決める。続けるなら続ける、やめるならやめる。

退会のふりを考えた夜、私はそのことを、自分に一番分かってもらえた夜だった。相手にではなく。

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