二回目のデートで、手を繋げなかった
二回目のデートが終わって、駅までの道で、私は最後まで手を繋げなかった。帰り道、手の空いた二秒のタイミングを、私は三回逃した。手を繋げなかった夜の話。
二回目のデートが終わって、私は最後まで手を繋げなかった。
相手が何かを話して、笑って、横を歩いていた。その横を、私は手をポケットに入れて歩いていた。
手を繋ぐタイミングは、二秒しかない
帰り道で、私は手を繋ぐタイミングをずっと探していた。
信号待ち、立ち止まった瞬間、話の切れ目。そういう場所に二秒ぐらいの隙間があって、その隙間が来るたびに、私は手を出す寸前でやめていた。
「今だ」と思うたびに、心臓が跳ねて、手が硬直して、その二秒は過ぎていった。三回、隙間は来た。三回とも、私は動けなかった。
繋げなかった理由は、断られたくないから
なぜ手を出せなかったか、今なら言える。
出して、繋いでもらえなかったら、その後の帰り道が壊れる気がした。 繋がらなかった手をどうやって引っ込めればいいのか分からなくて、その場に二秒間、手を空中に置いたままの自分を想像して、動けなくなっていた。
でも、あとから思う。手を繋ぐかどうかは、繋いだあとで決まることだった。繋いでもらえなかったら、そのとき離せばよかった。 二秒の硬直を怖がって、帰り道じゅう、手をポケットに入れたままだったことのほうが、ずっと後悔になった。
手を繋げなかった帰り道の、最後
駅まであと少しというところで、相手が突然、立ち止まって振り返った。
そろそろ電車の時間だね
それで終わった。その日の手を繋ぐチャンスは、そこで本当に終わった。
で、今はこうしている
今は、手を繋ぎたいと思う前に、まず手をポケットから出して、隣を歩くことにしている。
ポケットに手を入れて歩くと、手を繋ぐには遠すぎる場所に手がある。だから先に、手を出した状態で隣を歩く。すると、相手の手が近くに来たとき、出そうと思えば出せる距離にいる。
手を繋げないのは、勇気がないからじゃなくて、手がポケットの中にあったからだと思う。距離の問題だった。
次のデートの帰り道、私は手を出して隣を歩くつもりでいる。繋げるかは分からない。でも、ポケットの中からは、二回目のデートの終わりに、何も始まらなかった。
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