初デートに誘うLINEを、三時間かけて送った
初デートに誘うLINEを、私は三時間かけて送った。書き直して、消して、書き直して。送ったあと、二時間返ってこなくて、私はスマホを手放せなかった。誘うことより、送ったあとの時間のほうが長かった夜の話。
初デートに誘うLINEを、私は三時間かけて送った。
「いつ空いてますか」の、三時間
最初に打った文は「いつかお時間ありますか」だった。
見直して、消した。「いつか」だと、逃げ道を残してる気がした。次に「今度の土曜、空いてますか」と打った。でも、土曜を指定して断られたら、もう言い訳ができない。消した。
誘う文を書いては消してを繰り返すのは、誘う勇気がないことと同じだった。 私は三時間、文章と戦って、結局、最初とほぼ同じ文を送った。
送ったあとの二時間が、いちばん長かった
送信した。その瞬間、私はスマホを机に置いて、離れた。でも、三十秒後に手に取ってた。
送る前は「断られたらどうしよう」で、送ったあとは「既読がついたのに返事がない」で、同じ不安が続く。 誘うのは一瞬で終わるのに、その前後が長すぎる。
二時間後、既読がついて、返事が来た。「大丈夫です」の三文字。それを見たとき、私は三時間と二時間の重さが、その三文字で全部消えたような気がした。
誘うのに時間をかけた分、怖くなっていた
あとから分かったのは、誘うのに時間がかかるほど、送ったあとの反応を待つのが怖くなるということ。
三時間も書いて直した文は、断られたら、その三時間が全部無駄になる気がした。だから、余計に返事を待つのが怖くなる。誘うのは、時間をかければ上手くなることではなかった。
で、今はこうしている
今は、誘う文は、五分で送ることにしている。
最初に思いついた文を、二回だけ直して送る。誘うのは、文の質じゃなく、送るかどうかで決まる。 三時間かけた文と五分で送った文で、返事は同じだった。
そして、送ったあとはスマホを置いて、家事をするか、外に出る。反応を待つ時間は、どんなに文を磨いても短くならない。それなら、その時間を、誘うこと以外に使う。
初デートに誘うLINEを三時間かけて送った夜、私は誘うことより、誘えなかった自分と戦ってた。誘うのは、もっと軽いことだった。
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